株取引で最も大切なことは「値上がりが期待できる銘柄」を探して投資することです。
基本的には「安く買えて、高く売れる」銘柄を選ぶことですが、上場している企業の銘柄は数多くあり、どの銘柄を選べばいいか迷いますよね。
そこで、銘柄を選ぶ際に必須になってくるのが「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の2種類です。
そこで今回のブログでは、上の2種類の内「ファンダメンタルズ分析」について【PART1】と【PART2】に分けて全2回にわたって詳しく解説していきます。
「ファンダメンタルズ分析」の基本を理解して、株取引に活かしましょう。
目次
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析をする上で重視する点は大きく分けると3つあります。
今回の【PART1】では、以下の1と2について詳しく解説していきます。
- 企業の業績(今後の見通し)
- 財務状況
- 景気の動向
ファンダメンタルズ分析のやり方
では「1.企業の業績(今後の見通し)」と「2.財務状況」のファンダメンタルズ分析は、何を見て、どのようにすればいいのか、という点についてこれから詳しく解説していきます。
以下が基本的な方法になりますので、それぞれの着眼点を1つずつ確実に理解していきましょう。
- 決算書の分析
- 株価指標の分析
決算書
「決算書」は財務諸表とも呼ばれていて、企業の業績や財務状態等の様々な情報が「数字」としてあらわされていて、上場企業は開示が義務づけられています。開示義務のことを「適時開示」といいます。
決算書の内容は、
等、複数ありますが、ここでは「決算書」の中から投資家が重視する必要があるを2つを選択してわかりやすく解説をしていきます。
1.損益計算書「P/L」(Profit and Loss statement)
決算書の中で、もっとも影響力があるのが「損益計算書」になります。
「損益計算書」は、企業が一定の期間内(四半期や年単位)でどのくらい売上げて、どのくらい経費を使って、最終的に利益はいくらになったのかを数字であらわしています。
売上高や損益を具体的な数字で見ることにより、企業の業績をより正確に把握できるようになります。
損益計算書の中で、特に以下の6科目に関しては覚えておく必要があります。
2.貸借対照表「B/S」(Balance Sheet)
「貸借対照表」は、1つの四角い表に「資産」「負債」「純資産」が3つに分類されていて、企業の財政状態がわかる財務諸表の1つで「バランスシート(B/S)」とも呼ばれています。
その構造は、資金をどのように調達したかをあらわす「負債」と「純資産」、その調達した資金をどのように使ったかをあらわす「資産」に分かれていて、それぞれの部分には詳細な科目があります。
資産の部
調達した資金がどのように使われているかをあらわしたものであり、1年以内に現金化できる資産を「流動資産」といい、1年を超えて現金化される資産を「固定資産」といわれていて、流動性が高いものが上位に表示されています。
代表的なものとして、「流動資産」には、現金・預金・受取手形・商品等があり、「固定資産」には建物・土地・機械装置等があります。
負債の部
銀行からの借入金等の返済の必要がある資金で、どこから資金を調達したのかをあらわしたものであり、1年以内に返済される負債を「流動負債」といい、1年以内に支払期限が到達しない負債を「固定負債」といわれています。
代表的なものとして、「流動負債」には、買掛金・支払手形・短期借入金・短期未払金等があり、「固定負債」には、社債・長期借入金・短期未払金等があります。
流動負債と固定負債は金融機関等からの負債の為「他人資本」といわれています。
純資産の部
返済の義務がない資産であり、株主からの出資金や企業が出した利益等をあらわしたもので「自己資本」ともいいます。
また負債と同様に、どこから資金を調達してきたのかもあらわしていて、代表的なものとしては、純資産のうち株主が保有している部分を「資本金」、企業の設立時や増資の際に発生した資金の内、資本金にあたらない部分を「資本剰余金」、企業設立から蓄積された利益で内部留保とも呼ばれている「利益剰余金」があります。
企業が出した利益のうち、社内に留保すべきものとして規定されている資金
決算書の確認方法
1.IR情報
各企業のホームページで投資家向けに開示いている情報を「IR情報」といいます。
IRとは「Investor Relations」の略で、いわば投資家向けに企業自体のことを知ってもらうための広報活動です。
決算情報等の財務状況や企業業績から、企業の経営状況や新商品の情報、株主優待等まで広範囲に渡って情報が開示されています。
その中でも特に「有価証券報告書」と「決算短信」の確認は重要になってきます。
2.会社四季報
「会社四季報」は、「四季報」と呼んでいる人が多く、聞いたことのある方もいるかと思いますが、証券会社で口座を開設している人であれば、無料で「会社四季報」の情報が見ることができます。
業績の見通しについてのコメントは特に注目しておくと良いでしょう。
株価指標
企業の株価が割安なのか割高なのかを判別できるのが「株価指標」です。
「決算書」では、企業の財務状況や経営状況を数字で分析することを解説してきましたが、ここでは、企業の実際の価値に比べて、現在の株価が割安なのか割高なのかを分析する方法を解説していきます。
代表的な株価指標は5つあります。
PER(Price Earnings Ratio)
企業の1株あたりの利益と株価を比較して、株価が割安なのか割高なのかを判別するのが「PER(株価収益率)」という指標です。
株価が1株当たりの利益(EPS)の何倍かをあらわしたもので、倍数が大きければ割高、小さければ割安になります。
1株当たりの利益(EPS)は、【1.決算書の「損益計算書」】で説明した「当期純利益」を発行済株式数で割った数値になります。
「PER」の目安は一般的に15倍といわれていて、10倍以下だと割安、20倍以上だと割高といわれています。
ただし、PERを使って判別する場合には、以下の2点は気に留めておきましょう。
- 成長性が高く評価されている企業
- 成長性が高く今後利益が大きく増えると評価されている企業の銘柄は、PERが25倍以上になっていることもあります。理由は、期待されて買われることによりPERが高くなっているので、単に割高と判別するのは望ましくありません。
- 極端にPERが低すぎる銘柄
- 投資家がその企業の成長性に全く可能性も期待も感じていないので、その銘柄を買う投資家が少なく株価が下がっていてPERが低くなっているだけなので、単に割安と判別するのは望ましくありません。
- 投資家がその企業の成長性に全く可能性も期待も感じていないので、その銘柄を買う投資家が少なく株価が下がっていてPERが低くなっているだけなので、単に割安と判別するのは望ましくありません。
PBR(Price Book-value Ratio)
企業の純資産と株価を比較して、割安なのか割高なのかを判別するのが「PBR(株価純資産倍率)」という指標です。
純資産とは、資産から負債を差し引いたものです。
「PBR」の計算は、企業の純資産を発行済株式数で割った、1株当たりの純資産(BPS)を使います。
BPSは、株主の1株当たりの純資産がいくらあるかを示した数値で、仮に企業が突然解散した場合、「PBR」が1倍ならその時点の株価と同じ資産を株主は受け取ることになります。
「PBR」の標準的な水準は1倍であり、1倍未満であれば割安、1倍以上であれば割高といわれています。
ただし、PBRを使って判別する場合には、以下の点は気に留めておきましょう。
- 業績の安定性を見分ける
- PBRが1倍未満の銘柄でも、「右肩下がりの業績が続いていて回復の見込みがない企業なのか」それとも「一時的な業績不振に陥っているだけで、将来性があり成長性も高く評価されている企業なのか」を見分けることが必要です。
- PBRが1倍未満の銘柄でも、「右肩下がりの業績が続いていて回復の見込みがない企業なのか」それとも「一時的な業績不振に陥っているだけで、将来性があり成長性も高く評価されている企業なのか」を見分けることが必要です。
ROE (Return On Equity)
当期純利益を自己資本で割った数値を100倍したものが「ROE(自己資本利益率)」であり、自己資本を使ってどのくらいの利益を効率よく出したのかがわかる指標です。
つまり、株主の出資金をどれだけの上手に使って、利益を出しているかを示しています。
一般的には「ROE」が10%以上の企業は、自己資本を上手に使っていて効率的な会社経営をしていることを示し、逆に10%未満であれば自己資本を上手に使っていなく、効率的な会社経営ができていないことを示します。
ただし、借入等で負債を大きく抱えていて自己資本の割合が低下している企業は、ROEが高くなる傾向がある為、その点は気に留めておく必要があります。
ROA (Return On Assets)
当期純利益を総資産で割った数値を100倍したものが「ROA(総資産利益率)」であり、総資産を使ってどのくらいの利益を効率よく出したのかがわかる指標です。
つまり、「自己資本」と「他人資本」を合わせた企業のすべての資産を、どれだけ上手に使って利益を出しているかを示しています。
一般的には「ROA」が5%以上の企業は、総資産を上手に使っていて効率的な会社経営をしていることを示し、逆に5%未満であれば総資産を上手に使っていなく、効率的な会社経営ができていないことを示します。
ただし、借入等で負債を大きく抱えていても、利益を出していればROAが高くなる傾向にある為、その点は気に留めておく必要があります。
配当利回り
まず最初に、配当とは企業が得た利益の一部を株主に還元することをいい、株主が得る利益のことを配当金といいます。
配当について詳しく知りたい方は、以下の関連ブログをチェックしてみて下さい。
関連ブログ:【株初心者必見!】株取引の仕組みを図表を使ってわかりやすく解説します【PART1】
「配当利回り」とは、企業の株価に対し1年間でどれくらいの配当を受けることができるかを示す数値で、パーセンテージで表記されます。
数値が高くなるほど配当金の還元率が良いので「配当利回り」を重視する投資家も多いです。
分配される配当金は、企業によって株価や最低売買単位が違うので、一概に配当金額だけでは「配当利回り」の優劣の判断はできません。
そこで、株価に対してどれくらい配当金が分配されるのかを比較する時に「配当利回りの計算式」を使って比率をもとめます。
ただし、配当金は予想の金額なので、配当利回りも予想の数値になっていて確定していない為、上下に修正する可能性がありますが、それでも銀行の定期預金の金利の利率と比較たらどちらの方が利率が良いのかは一目瞭然です。
株価指標のまとめ
1つの指標だけに偏って分析をすることは効果的ではありません。様々な角度から見てみて、それぞれの指標をうまく組み合わせて判断しましょう。
また、計算で割り出したそれぞれの数値は、業界平均や同業他社と比較することが重要です。
業種によってそれぞれの指標の水準が大きく異なる傾向にある為、単純に計算で出た数値のみで割安か割高か、資金効率が高いか低いか、配当利回りは高いか低いかを判別するのは望ましくありません。興味のある企業が業界の中でどのくらいの水準なのかを他社と比較して考えることが望ましいでしょう。
また、株価指標は「スクリーニング機能」を使って調べることもできます。
証券会社で口座を開設している人であれば、無料で「スクリーニング機能」の使うことができます。
指定できる株価指標は証券会社によって多少の違いはありますが、私ががメインで利用している証券会社では、上で解説した株価指標はすべて「スクリーニング機能」で検索できます。
「スクリーニング機能」は、指定した複数の株価指標を入力することによって、その条件に合った銘柄選びができるのです。
また、検索の際に条件を絞り込めば絞り込むほど該当する銘柄の数は少なくなり、自分に合う銘柄が限定されるので、銘柄選びがスムーズになります。
最後に
「ファンダメンタルズ分析」は、長期投資をしていく上で欠かせないスキルです。分析には、多くの時間を費やすので大変ですが、それだけ重要な部分になります。
【PART1】では「決算書の分析」と「株価指標の分析」の2つの分析方法を図を使ってわかりやすく解説してきましたが、しっかりと把握して身に付けましょう。
【PART2】では「景気の動向」について
- 経済指標
- アメリカ市場
- 為替
の3つの分析方法を解説していきますので、是非株取引の参考にしてみて下さい。
関連ブログ:優良株が見つかる?ファンダメンタルズ分析とは!【PART2】
※このブログは決して投資を勧誘したり促しているわけではありません。もし投資を行う場合には、リスクを十分に考慮した上で最終判断してから自己責任で行いましょう。